2024/3/31
【書評】太平洋戦争を勝てるシナリオが日本にはあった?『日米開戦陸軍の勝算』
これまで信じていたことが、実は違ったと知って複雑な感情になることは誰しも経験があるのではないだろうか。
林 千勝氏の『日米開戦陸軍の勝算「秋山機関」の最終報告書』は、読者をそんな気持ちにさせてくれる。この本を読んだ後は、僕らが太平洋戦争と呼んでいるこの戦争についての考え方が大きくかわるだろう。
- 太平洋戦争は、戦後アメリカが名付けた
- 太平洋戦争は、日本がアメリカの侵略を防衛するための戦争だった
この内容について、知らなかったという人は本書を是非手に取ってほしい。
多くの犠牲者を出したこの戦争について、愚かな日本の指導者が悪かったという認識を僕も含めこれまでずっと持っていた。だが、これが戦後意図的にアメリカによって作られたものだったら、皆さんはどう思うだろうか。
「どうして?」「なんのために?」という疑問も当然でてくるが、本書ではそれら内容についても解説してくれている。
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」これはドイツのビルマスクの格言だ。
繰り返し戦争による悲劇を繰り返すべきではない。戦争経験者ではない世代の僕でも、もちろんそう思っている。ただ、僕たちが暮らす日本で一番最後に起きてしまった戦争について、正しく認識できていないのは由々しき問題だと感じるし、この状態では正しく歴史に学ぶことが出来ない。
以前に、本ブログで紹介した百田尚樹氏の「日本国紀」でも、太平洋戦争に対する戦後の認識について記載がされている。一部内容について紹介しているので、興味のある方は以下を読んでみて欲しい。
本書では、その他、真珠湾攻撃を実行した山本五十六についても書かれている。山本五十六は、世間一般的には、アメリカの力を正しく理解していた先見の明がある海軍軍人と考えられているが、著者は真反対の意見を持っている。その理由についてもわかりやすく本書では解説してくれている。
本書の内容を丸々信じる必要はないと思う。あの戦争について本書で記載されているような考え方・見方があるということを知ることは、重要なのではないだろうか。僕らの国で起きた、なんせたった70年前のことだから。
最後に、本書の著者である林 千勝氏の強い思いを感じた一文を紹介したい。
ただ筆者は、過去の歴史において真実のみを見つめたいのです。
『日米開戦陸軍の勝算「秋山機関」の最終報告書』林 千勝著