2023/12/21
『0ベース思考』で見る、日常と仕事の新たな視点
皆さん、こんにちは。スティーヴン・レヴィット、スティーヴン・ダブナー著「0ベース思考」を読みました。僕たちの仕事や私生活において考えてみると、古い慣習や既成概念に縛られていることって沢山あるように思います。本書では、これら表面化していない問題を考えるメリットや方法などが興味深い具体例を交えて書かれています。
今回は、スティーヴン・レヴィット、スティーヴン・ダブナー著「0ベース思考」を紹介したいと思います。
0ベース思考とは何か
本書のタイトル「0ベース思考」とはどのようなものなのか。0ベース思考という言葉からも少しイメージはできそうだが、冒頭で本書を書くキッカケについて以下のように記載されています。
そう「フリーク」[常識の枠に収まらない人、既存の慣習にとらわれない人]みたいな考え方が誰にもできるようになる、って本をかいたほうがいいんじゃないかとぼくたちは考えた。
スティーヴン・レヴィット、スティーヴン・ダブナー著 「0ベース思考」より
0ベースというと「原点に立ち返る」みたいなイメージを持ちそうになりますが、本書ではどちらかと言うと、「今までの常識にとらわれずに考える」といったニュアンスで使われています。
0ベース思考の出発点:無知の受け入れ
本書のタイトルである「0ベース思考」。この、今までの常識にとらわれずに考える方法を実践するためには、「知らない」ことを「知らない」と認めることが出発点になります。この「知らない」と認めることが難しいと本書では書かれています。
誰かに何かを聞かれた時「知らない」と言うことで、自分が無知に思われたりするのって嫌ですよね。
僕も思い返してみると、仕事でだれかに何かを聞かれた時に「知りません」というと、無知に思われたりするので、当たり障りのない回答でその場をやりすごしたことがあります。
だれかに何かを聞かれなかったにしても、自分が「知っている」と思い込むほうが、何かと楽なことってありますよね。調べたりするタスクが発生しなくてすみますし。
しかし、「知らない」ことを認めることで、成長の機会が生まれます。これは、僕の今の上司(50歳代)の経験談ですが、会社の中でも、自分の知識や経験の限界を認識して、いつまでも謙虚に貪欲に学習している人ほど、成功(出世)している傾向があるようです。
「知らない」と認めることは、多くの人にとって、特にその業界にいる期間が長ければ長いほど、難しくなります。しかし、これを受け入れることで、新しい成果につながるようになります。
自分の無知を自覚し、知識や理解が不足していることを知ることを指す、ソクラテスの「無知の知」と近いですね。
真の原因を見抜く方法(ルーツを考える)
「知らない」ことを自覚し、問題が明確になったら、真の原因を見抜くことが必要です。
その真の原因を見抜くためのアプローチは、様々あり本書でもいくつか具体例を交えて紹介されています。詳細について、気になる方は本書を読んでいただくことにして、僕が印象的だったアプローチ「ルーツを考える」について紹介します。
本書の例を引用すると、白人と黒人では、黒人の方が平均寿命は短いというデータがあり、どちらも死因のトップは心臓病です。心臓病の罹患率は白人より黒人の方が高いそうです。
ここでなぜ、黒人の心臓病の罹患率が高いのか、「ルーツ」を考えてみます。
下の画像は、アフリカの奴隷承認が、奴隷の顔を舐めている絵です。なぜこんなことをしているのか。
奴隷商人は、黒人の汗の塩分濃度を舐めることで、病気の有無や生存能力を判断していました。塩分濃度が低い人は、長い航海中に少ない塩分で生き延びる可能性が高いと考えられていました。
この選択過程の結果、現在のアメリカの黒人は、体内に塩分を蓄積しやすい傾向があると考えられます。この「食塩感受性」は遺伝しやすい形質があるので、これが原因で今の黒人の心臓病の罹患率が高いと考えることができます。
上に記載した内容だけで、黒人が心臓病に罹患しやすい原因として断定することはできません。ルーツを考えて原因を究明するという方法の一例として読んでもらえればと思います。
仕事でも、何か問題を解決したい時、「なぜ、今このようになっているのか」過去にさかのぼって考えてみると、解決策が見えてくることが度々あります。
人は群れる?本当に相手が求めていること
何か相手に行動を起こさせようとするとき、インセンティブは重要な要素になります。インセンティブはようは、動機付けや報酬のこと。
インセンティブと聞いて、真っ先に思い浮かぶもは「お金」でしょうか。本書では、お金はインセンティブとして効果的とはしつつ、他にも効果的なインセンティブ(動機)があると述べています。例えば、道徳的な動機であったり、社会的に良いという動機であったり。
そんな中でも、一番強い動機付けになるのが、「群集心理インセンティブ」と本書は述べています。結局人は無意識のうちに群れる生き物といったところでしょうか。
これを営業系の仕事で生かすとすると、「○○社(他社)でも採用いただいています。」とか「業界で今、好評の~」など、業界でトレンドになっていることなどを伝えると成功する可能性が高くなるということですね。人によって考え方に偏りや違いはあるでしょうが、道徳的や社会的に良いからというのは、群集心理に比べて力が弱い傾向にあるということは、知っていて損はなさそうです。
物語を語るという強力な説得
人は、単なる事実よりも物語に引き込まれるものです。
何か説得したり、アピールしたいことがある時は、時系列に沿って全体の流れを物語として説明し、「だから、○○(結論)。」という流れで話ができると、感情に訴え、より強い印象を残すことができます。その中で、データや統計などの根拠が示せるといいとも本書では記載されています。
本書では、エピソードと物語の違いについても述べられています。エピソードは全体像の中の一面を切り取ったもの。「○○さんが、こういう状態で、○○と言っていました。」くらいだったらエピソードになります。物語は、エピソードと違いスケールの大きい、全体像を見せるものになります。エピソードだと、○○さんだけの話じゃないの?となってしまいますが、全体像を伝えれるとそのようなこともなくなるのではないでしょうか。
まとめ
考え続けることって、たぶん生きていくうえで大切で、この「0ベース思考」を取り入れることで、考えやすくなるのではないかと思います。本書では、面白い興味深い例を交えて説明されているので、楽しく読めました。「0ベース思考」おススメの本です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。