2026/1/31
『銀河ヒッチハイク・ガイド』書評|地球が消え、「42」が雑に扱われる理由
※本記事には『銀河ヒッチハイク・ガイド』の冒頭および物語の重要な要素に関するネタバレが含まれます。未読の方はご注意ください。
『銀河ヒッチハイク・ガイド』(ダグラス・アダムス)は、SFコメディの名作として知られている一方で、読み終えたあとに残ったのは妙なモヤモヤ感だった。
本記事では、冒頭で地球が消滅する場面と、「42」をめぐるネズミたちのやり取りから、僕が居心地の悪さを感じた理由について考えてみたい。
Contents
地球があっさり消える『銀河ヒッチハイク・ガイド』の冒頭
物語は始まってすぐ、地球が消える。人類の歴史や文明がどうだったかや、悲惨な描写などはほとんどない。宇宙の工事の都合で、ただあっけなく撤去される。
あまりにもあっさりしていて、最初はギャグとして受け取るしかない。SF小説はほとんど読んだことがなかったけど、物語としてはワクワクする冒頭だ。
「42」という答えと、ネズミの雑な質問
同じ調子で描かれるのが、「究極の問い」に対する回答とされる「42」だ。
地球が誕生したのは、そもそもこの「究極の問い」とは何かを知るために作り出されたことが後に判明する。
人類は三番目に賢い、ネズミは一番目に賢いという設定のシュールさ。そして、満を持して登場した一番目に賢いネズミが究極の問いを知る手掛かりを掴み損ねると、それっぽい質問を丁稚上げしようとする。
「6×7は?」といった具合に。
笑ってしまうのは、その賢さが急に頼りなく見えるからだ。質問を丁稚あげる理由が、真理より後の講演での受けを心配してのことなのも頼りない。
設定として理解すると笑えるけれど、こうして並べると、その構図はかなりシュールだ。賢さの序列が用意されているのに、人より賢い存在ですら、物語を完成させる気配がない。
私は物事をストーリーで理解しがちだった
私はたぶん、物事をストーリーで理解しがちなところがある。
大事な出来事には理由があり、答えには、それにふさわしい問いがあるはずだと無意識に期待してしまう。
だから、地球が説明もなく消え、地球が生まれたキッカケにもなった「42」に対する問いも雑に扱われていくこの展開に、どこか置いていかれた感じが残る。「地球ってなんだったのか?」と。
地球が理由もなく消えたように、地球が生まれた理由も雑に扱われる。私が期待していたストーリー性も、最初からこの小説の世界には用意されていなかった。
物語を用意してくれない世界の居心地の悪さ
この本は、それを慰めも説明もせず、ただ笑いとして差し出してくる。
世界はこちらの理解や納得を待ってくれない。「世の中そんなもんだよ」と筆者から言われている気がする。
本書『銀河ヒッチハイク・ガイド』を読み終わった時に、僕は「結局何だったんだろう」という感情が残った。それでもなぜか嫌いになれない。









