2026/3/8

なぜクラシックの客席には年配の人が多いのか。初めてのコンサートで考えたこと

先日、人生で初めてクラシックコンサートに行った。客席の8割が60歳以上だった。

演奏していたのは広島交響楽団

舞台には50人以上の演奏者が並んでいる。

弦楽器、木管、金管、打楽器。

それぞれが違う音を出しながら、ひとつの音楽を作っていく。

目の前で起きていたのは演奏というより、音で作られた巨大な建築物のようだった。

音だけでここまで表現できるのか

クラシックを聴いてまず驚いたのは、表現の幅の広さだった。

明るい旋律。

暗い響き。

緊張が高まり、突然訪れる静けさ。

楽器の種類、音の強弱、リズム、流れ。

それらを組み合わせることで、信じられないほど多様な感情が生まれている。

当たり前のことかもしれないが、音だけでここまで表現ができることに驚いた。

客席はなぜ年配の人が多いのか

会場を見渡して、あることに気づいた。

客席には年配の方が多い。

その理由が、演奏を聴きながら少しわかった気がした。

クラシック音楽には基本的に歌詞がない。

だから音楽の意味は、聞き手に委ねられている。

ポップスは違う。

歌詞がある。

メッセージがある。

だから若い人でも意味を受け取りやすい。

しかしクラシックは抽象的だ。

音楽をどう感じるかは、その人の人生経験に依存する。

年齢を重ねるほど

・成功

・失敗

・喜び

・後悔

いろいろな経験が増える。

だからこそ、抽象的な音楽に自分の人生を重ねて意味を見つけられるのかもしれない。

音楽は人生に似ている

演奏を聴いていると、曲調は次々と変わる。

明るい部分。

暗い部分。

穏やかな時間。

激しくぶつかる瞬間。

ふと、人生に似ていると思った。

人生にも、明るい時期があれば暗い時期もある。

順調な時もあれば、どうしようもない時もある。

クラシック音楽は、そのすべてを無数の表現方法で描いている。

言葉にするのは難しいが、

音楽を聴きながら

「いろいろな人生を体験している」

そんな感覚があった。

クラシックには独特の“作法”がある

初めてのコンサートでは、いくつか不思議な光景もあった。

演奏が終わると、拍手の中で指揮者が一度舞台を去る。

しかしまた出てきて挨拶をする。

それを何度か繰り返す。

さらに楽団員が拍手ではなく、足を踏み鳴らして称賛する場面もあった。

そして指揮者が特定の奏者を立たせ、

観客に紹介するような仕草をする。

これは後で知ったが、

クラシックの世界では

再登場は観客の拍手への応答 足踏みは最大級の賛辞 特定の奏者を立たせるのは功績の称賛

という意味があるらしい。

長い歴史の中で生まれた、リスペクトの文化なのだろう。

天才はピアノの技術だけではない

この日のピアノは

キット・アームストロング

というピアニストだった。

後で調べると、彼は数学や物理も学んでいるらしい。

おそらく幼いころからピアノの英才教育を受けてきたのだろう。

しかしそれだけではない気がする。

音楽を表現するということは、

単に技術を磨くことではなく、

世界をどのように理解しているか

が関係しているのではないか。

そんなことを感じた。

ここで思い出したのが
RANGE(レンジ)知識の「幅」が最強の武器になる
という本だ。

著者の
デイヴィッド・エプスタイン
はこう書いている。

創造性は、異なる分野の知識が交差する場所で生まれる。

もしそうだとすれば、
音楽を極めるために必要なのは
「ピアノの練習量」だけではないのかもしれない。

数学、物理、哲学。
世界の理解そのものが、音楽の表現に現れる。

彼の演奏を聴きながら、そんなことを思った。

勝ち負けのない世界

芸術には基本的に勝ち負けがない。

スポーツには勝敗がある。

だから人は熱狂する。

勝った。

負けた。

その瞬間、脳からアドレナリンが出る。

それが気持ちいいのだろう。

しかし音楽にはそれがない。

ふと思った。

宇宙から見たら、

そもそも勝ち負けは存在しているのだろうか。

正解=勝ち

不正解=負け

そう決めているのは人間だけなのかもしれない。

宇宙の視点から見れば、

正解も不正解もないのではないか。

そんなことを、クラシック音楽を聴きながらぼんやり考えていた。

おわりに

クラシック音楽を理解できたとは思っていない。

むしろ、わからないことの方が多い。

それでも、音楽を聴きながら

普段考えないことを考える時間は面白かった。

クラシック音楽には、

人生について静かに考える余白がある。

また機会があれば、

定期的に足を運んでみたいと思う。

About Me

sai

sai

1991年大阪生まれ。広島在住。2021年に第1子が誕生。
サラリーマンをしながら育児に奮闘中。週末の出来事や、子育てに関する情報など、日々の暮らし豊かにするための情報を発信します。
好きな食べ物はチキン。